国土交通省「平成21年版日本の水資源について」によると、沖縄県民のひとり
1日平均の生活用水使用量は、337リットルと全国で最も多い。
また、全水使用量に占める生活用水使用量の割合が関東臨海に次いで大きく、
約4割を占める。沖縄の水使用量の大きな特徴だ。
昔から水不足が懸念され、近年は沖縄本島に上陸する台風が減少し、毎年の
ように渇水問題が取り沙汰されている。
夏になると決まってダムの貯水率が危機的状況にあることが県民同士の時候の
あいさつになるのだが、そのわりに水はふんだんに使っているのが実態かも
しれない。
国土交通省「平成21年版日本の水資源について」
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/hakusyo/H21/2-4.pdf
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/hakusyo/H21/2-4s.pdf
阪神大震災の被災地区は、河川環境を守る住民運動の高まりや親水エリアの
設置などで、幸いなことに90年代あたりから水質がかなりよくなっていた。
震災時に川で洗濯ができたのは、この恩恵だ。
また、幼少時から背山である六甲山に登り飯盒炊さんやキャンプなど、地域や
学校での野外活動が盛んだった。
この経験は、震災時の原始生活=サバイバル生活にかなり貢献した。
また、ハイキングで山の湧き水を飲むこともあれば、天然水の取水地もあり、
井戸が衰退した分そうした湧き水を利用した人も少なくなかった。
沖縄では、以前は各家庭で井戸が重要な役割を果たしたほか、雨水を溜めたり
人間のし尿や豚小屋からの排水を循環させ有効利用してきた。
集落ではカー(井戸)やヒージャー(樋川)、ワクガー(湧水)といった水源を生活
用水供給の場を兼ねた聖地として大切にしながら、苦労して水を確保してきた。
洗濯場であった川は地域の人の手で水質を保全する努力がなされていた。
洗濯をするお母さんのまわりでは子どもが遊び、コミュニケーションの場だった。
水道が普及してからは、井戸や河川への関心が薄れるとともに、雨水を貯める
家も少なくなった。
たった40年前のことなのに、今はまったく見る影もない。
ほとんどの川は放棄され、死んでいる。
沖縄の川の汚れと水道使用量は比例しているのではないか。
今の沖縄は、神戸とまったく逆だ。
もし大災害が起こった場合、自然の恵みを利用することは100%近く不可能だ。
誰も安謝川や安里川で洗濯をしようとは思わないだろうし、トイレを流す水に
使うとヘドロが多すぎてトイレや排水溝を詰まらせてしまう。
子ども時代に野外活動をする経験も少ない。
だいたい、山に登ったり川遊びをする機会がないばかりか、これほどの自然が
ありながら、ろくに歩くこともしていない。
私たちは、
・本島北部のダムに依存しない
・渇水に備える
・自然災害に備える
・古い住宅が密集する地域が多いなかで火災を防ぐ
・地域の自然環境を守る
ためにも、水について真剣に考えければならない。
沖縄では以前から渇水対策のため各家庭で給水タンクを設置してきた。
水道水を貯留しながら日々使う仕組みになっている。
最近は断水も減り、衛生面での問題も指摘され、役割は薄れつつある。
使わずに放置してされていることも多い。
また、昔から水ガメや簡易タンクに雨水を貯めることも行われてきた。
こちらの方はもっと早く衰退している。
給水タンクを散水用などに改造したり、庭先においてある大きな水がめを再活用
して災害時に生かす発想が必要だ。
西原町では、1998年に町内を流れる小波津川が氾濫し洪水を経験したことから、
地表に流れる雨水を減らすため、家庭での雨水タンク設置に補助を出している。
また、「あなたも参加しませんか?身近なこんなこともみんなでできる総合治水です」
として、容器を並べて雨水を貯めることを奨励している。
「雨水をためて庭の水まきに」
「大雨のときはお風呂の水を流すのちょっと待って」
「庭の土や植物も役立っている」
「庭にある池も役割があります」
と、家庭でできる防災と水利用を呼びかけている。