2012年06月26日

かりゆしウエア 今年も大槌へ

【沖縄DE東北交流6】
かりゆしウエア おおつちロックフェスへ
大槌町の災害FM局と連携

 昨年来、沖縄県民のみなさまからused&新品のかりゆしウエアに被災地のみなさんへの手紙を付けて提供いただいてきた「めんこいかりゆしプロジェクト」で、最後の387着を6月30日に岩手県大槌町で開催される「おおつちありがとうロックフェスティバル」に向け、本日25日に沖縄から発送しました。
 おおつちロックフェスティバルは、大槌町のみなさんが全国の人々に支援への感謝の気持ちを伝えようと開催するものです。送ったかりゆしウエアは会場で販売等に使われ、収益金全額を地域に充てていただく予定です。

【おおつちロックフェスティバル】
公式HP http://www.arifes.jp/
公式Youtube http://www.youtube.com/playlist?list=PL4315A21C2D145BE9&feature=plcp
MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/region/news/120614/iwt12061402020001-n1.htm


 今年5月に大槌町を訪れた際、4月に開局したばかりの「おおつちさいがいエフエム」に出演させていただいたご縁で、同FM局からロックフェスでの活用をお声かけいただきました。担当の清水章代さんは私と同じ神戸出身で、震災やその後の地域再生の経験、神戸で「伝える」という仕事に関わってきたことを大槌で少しでも役に立てたいと大槌に移住されています。
 放送では「先生のその気持ち、ほんまようわかりますわ~」とたくさん共感していただきました。ちょうど、繁多川公民館で具体的な大災害を想定した炊き出し実験をしている最中に章代さんから連絡があり、今年もかりゆしウエアが大槌で生かされることが決まって飛び上がって喜びました。
かりゆしウエア 今年も大槌へ
シーサイドタウンマストの中にある「おおつちさいがいエフエム」
スタジオ前で、スタッフの清水章代さん(今年5月3日)


 きょう、沖縄から岩手に旅立ったかりゆしウエア387着は、ユーズドが268着(男もの198着・女もの70着)、新品が119着(男もの113着・女もの6着)。サイズはSSから4Lまでありました。
 大槌へのかりゆしウエアの発送は、沖縄で農業法人をされている岩手県出身の加賀哲彦さんが受け持ってくださっています。今回も加賀さんが快諾してくださいました。ダンボール12個におさまったかりゆしウエアは、快晴と青空の沖縄大学から元気に旅立ちました。
かりゆしウエア 今年も大槌へ
快晴の沖縄大学から、岩手県出身の加賀さんの手で
大槌町へ旅立つかりゆしウエア(6月25日)

かりゆしウエア 今年も大槌へ
昨年、沖縄大学の学生たちの手でデザインされた
「かりゆしボックス」(梱包段ボール)

かりゆしウエア 今年も大槌へ
「かりゆしボックス」今回のデザインメンバー
左からみゆき1号、なお、あさこ、みゆき2号、まりこ。
みゆき1号は、岩手県遠野市出身
かりゆしウエア 今年も大槌へ
「かりゆしボックス」お絵描き中

【めんこいかりゆしプロジェクト】
 沖縄の夏服「かりゆしウエア」を岩手に送る活動は、「めんこいかりゆしプロジェクト」として昨年6月に始めました。
 震災から1か月半後、被災地のみなさんに少しでも寄り添えたらと、沖縄大学の学生28人と大槌町の城山体育館避難所や半壊地区の桜木町、宮古市の支援物資集積拠点で活動した際、「夏服がない」というお話や、「沖縄の涼しそうなシャツいいね」という声を聴きました。「新品はいらないよ。古着でいいからね」とも言われました。帰沖後、「おうちに眠っている“かりゆし”に手紙をつけて送ろう」と呼びかけたものです。
かりゆしウエア 今年も大槌へ
かりゆしウエアの仕分けをする沖縄大学の学生たち

 阪神淡路大震災での経験や、その後の新潟県中越地震での教訓から、「単なる古着として送らないで」「モノを送るのではなく、沖縄のココロを送ってね」と呼びかけました。
①必ず、次に着られる方に向けた手紙を付けてください。
②アイロンをかけ、きれいにたたんでください(クリーニングがベスト)。
③手紙を添えて、1着ずつ袋に入れてください。
という3点をお願いしました。古着でも、着ていた人が心をこめて送ることでお金ではない価値になること、集まりすぎて処分に困ってしまうことを避けるためでもありました。
かりゆしウエア 今年も大槌へ
昨年は「かりゆしルーム」を大学内で貸してもらい、
学生たちが仕分けやアイロンがけを行った

 県内の新聞社や公的機関も呼びかけに協力してくださいました。中学校の校長先生、生命保険会社のお姉さん、老人大学のスタッフ、離島のみなさんなど、たくさんの方がつながってくださり、850着が集まりました。かりゆしウエアの組合からは、「銀行などの制服で更新のため返却されたものがあるので、よかったら声をかけてください」というお話もいただきました。「発送代に使ってほしい」と、切手の寄付もいただきました。
かりゆしウエア 今年も大槌へ
仕分けや、次に着られる人にあてた手紙書きなど行う

 シャイな県民性か、手紙が付いているものはそれほど多くなかったので、学生が手紙を書きました。取材に来てくださった沖縄タイムスの女性記者さんや沖縄ケーブルテレビのリポーターさんにも書いていただきました。記者さんには、手紙の書き方指導もしていただきました。
かりゆしウエア 今年も大槌へ
沖縄タイムスの記者さんも手紙書きに参加。
学生たちに文章の書き方を教えてくださった
かりゆしウエア 今年も大槌へ
「ユーズドかりゆしには、必ずメッセージを」と呼びかけ
多くの県民が心の交流にひと役買ってくださった
かりゆしウエア 今年も大槌へ
持ち主からメッセージのないものは、このメッセージカードに
学生が思いを書き込んで付けた

 昨年は、避難所で親しくしていただいたみなさんにお手を煩わせてもらい、避難所や仮設住宅で配布していただきました。その後、大槌町では昨年7月から徐々に避難所の解消と仮設住宅への移行に入りました。私たちが訪れた城山体育館避難所も7月末に解消、町内に分散する仮設住宅への移行が始まりみなさんの状況があわただしくなったこともあり、送付を見合わせました。
 岩手の夏はそう長くなく、9月は涼しくなるようなので翌年に送付する準備に入りました。秋からは仮設商店街も順次オープンし、地元の経済の迷惑になったり、被災されたみなさんの自立の妨げにならない方法で役に立てる方法を考えることになりました。震災直後のように支援物資として無料配布すれば、衣料品店の営業を妨害し、経済の自立や地域活性の芽を摘むことになります。あくまで地元ニーズ優先なので、場合によっては廃棄という選択も考えながら、翌夏に向けた「越冬作業」に入りました。
 実際に、全国から「自転車を送ろう」という支援があり、ありがたかったけど仮設商店街がスタートしてからも継続されたため、商店街内の自転車屋さんは頭を抱えてしまったとのこと。その時「パンク修理をお願いします」と言われとても悔しい思いをしたけど、それでもがんばろうとしたら今度はパンク修理ボランティアが来て仕事をもっていかれてしまったという話を、3月に大槌町でうかがいました。
 かりゆしウエア 今年も大槌へ
「私たち、ウチナーンチュになれたかしら」と、
昨夏、避難所に届けた際、試着の様子を送ってくださった。
大槌町城山体育館避難所で

 沖縄県民からかなりの数が集まったため、仕分けや保存状況が悪いもののアイロンがけ、送るにはふさわしくないものの選別、袋に入っていないものは1枚づつフィルムに入れる作業など、沖縄大学の学生ががんばりました。沖縄女子短期大学の学生や先生も手伝ってくださいました。沖女の学生たちは、傷みが激しくて送るのにふさわしくないかりゆしを、裁縫の技術を駆使して子ども用のおもちゃや工夫をこらしたエプロンなどに改造してくれました。みな保育科の学生で、被災地の子どもたちを思いながら制作してくれました。3月に大槌町を訪れたとき、おさなご保育園にプレゼンとしました。80歳を超えてがんばっておられる園長先生に喜んでいただきました。
かりゆしウエア 今年も大槌へ
かりゆしウエアを改造して「お天気エプロン」や「日替わりカレンダー」など
制作した、沖縄女子短期大学保育科のメンバー
かりゆしウエア 今年も大槌へ
沖女の学生たちが「難モノかりゆし」を改造して作った
ぬいぐるみとお手玉

 昨年6月にスタートして、県内各地から届けていただいたかりゆしウエアは合計850着。「単なる古着処分と考えないで」とメッセージを発してきましたが、残念ながら250着は被災地のみなさんをみじめにさせてしまうような傷んだもので、送ることができませんでした。しかし、新品を送ってくださった方やクリーニングをして持ち込んでくださった方も同じくらいおられ、大変勇気付けられました。
 先ほど書いたように、地震や津波で大きな被害を受けた地域は復興と自立に向けて歩み始めており、経済に貢献する活動が求められています。第1期の「めんこいかりゆし」プロジェクトはこれで終了し、どうやって東北の経済活動に沖縄から応援が送るのかを考えながら次期の活動を考えて行きます。これまでどおり、他大学やさまざまな組織・団体と連携をとりながら、東北とトモニに楽しみながら交流を続けます。送れなかった「難モノ」250着を、沖縄女子短大の先生や学生さんたちにリメイキングの技術を教わって、新しいものに生まれ変わらせることも考えています。


 1年間、めんこいかりゆしプロジェクトを応援してくださった県民のみなさま、心からお礼申し上げます。
 おおつちありがとうロックフェスティバルにお越しのみなさま、会場でかりゆしウエアをお見かけされましたらお手にとってご覧くださり、できれば購買いただいて開催費にご協力いただけますよう、よろしくお願いいたします。



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Posted by ボララボ at 01:22 │沖縄DE東北交流